Limaoの中国裏事情ブログ

早稲田大学卒業、東洋大学大学院中退、2015年中国は湖北省の武漢大学に語学留学、2016年現地企業のサラリーマンを経て帰国。その後はフリーランスの日中翻訳者として東京を拠点にタイや台湾などでノマドワーカーしてます。 日本にいてはなかなか分からない中国大陸や台湾、香港などの実際のありさまをレポートします。中国語や台湾語の学習情報も更新していく予定。乞うご期待!

中国のGDP統計値は実際よりも低い?

中国経済の各種指標について日本のメディアでは信用できないとよく言われますが、実は「水増し」分だけでなく経済規模を「過小評価」している可能性についても真剣に検討すべきです。なぜなら、中国人は個人で商売をするのが上手で、スマホを持っているほとんど全ての中国人が何らかのサイドビジネスに手を出しているといっても過言ではないからです。これらの収益は当局も最初から課税対象と見ておらず全然把握できてません。

中国は歴史的に人脈がものを言う社会です。公式統計に表れない地下経済の規模が極めて大きいのが昨今の中国経済の大きな特徴です(地下経済の規模は推定で表の経済の1/2相当)。地下と言ってもなにも非合法な産業とは限らず、さまざまな商品やサービスがネットで取引されており、そこでは違法か否かの観念は概して曖昧です。そしてそれを支えているのがスマホと電子決済技術の高度の普及です。

このような個人間の取引はすべて信用に基づく人間関係によって進められます。よく日本人はウチとソトで態度が違うと言われていますが、実は中国人ほどウチとソトを区別する民族はありません。見ず知らずの他人には冷淡ですが、既に確立された友人関係を非常に重視し、血縁と朋友からなる口コミネットワークでの情報交換を好みます。商業広告より友人の紹介が遥かにものを言う社会です。従って、このネットワークをどう活用するかが中国での生存率を左右します。家族の結束と社会の横のつながりこそが強権的な皇帝政治が長く続いた中国における確かな「生存戦略」でした。その伝統は今も生きています。これに比べると、日本人同士の人間関係は「建前」重視の表層的なものに過ぎません。中国人留学生が日本で友達を見つけにくいというのも、これに起因したものでしょう

血縁・地縁による人脈を重視する「儒教思想」こそが現代中国を読み解くキーワードなのです。