Limaoの中国裏事情ブログ

早稲田大学卒業、東洋大学大学院中退、2015年中国は湖北省の武漢大学に語学留学、2016年現地企業のサラリーマンを経て帰国。その後はフリーランスの日中翻訳者として東京を拠点にタイや台湾などでノマドワーカーしてます。 日本にいてはなかなか分からない中国大陸や台湾、香港などの実際のありさまをレポートします。中国語や台湾語の学習情報も更新していく予定。乞うご期待!

中国の就職事情

日本ではデフレ不況が長く続き、職場のパワハラブラック企業の問題などが深刻化しています。

これに対して中国では基本景気が良いので、若者が就職に困るということはほぼありません。問題は中国にもブラック企業がたくさんあって、社員を消耗品としか考えてないことです。福利厚生などがほぼゼロで、月3000元(45000円程度)の薄給でこき使う中国企業はたくさんあります。このくらいの給料だと今の中国では生きていくのがやっとで、結婚とか無理です。でも、日本と違って、中国ではブラック企業に当たったらすぐやめて次の就職先を見つけることができます。

日本と中国では転職に対する考え方が全然違います。そもそも新卒採用という概念がなく、中国の労働市場では中途採用でも何ら不利益がありません。日本では転職を繰り返すごとに給与等待遇は悪化していくし、すぐ転職する人はなにか人間性に問題があると思われがちです。これに対して中国では転職はむしろキャリアアップのためだと肯定的に考えられており、有能な人ほどさまざまな企業や職場で経験を積んで進んで次をめざして辞めていきます。逆に無能な人は一つの職場にしがみついて長くつとめていると見なされます。中国は国土が広大なので一つの街で働いてうまく行かなければ何千キロも離れた別の都市に行ってそこで何もかもリセットしてやり直すということもできます。

このように中国の企業では流動性が高いので、企業の方でも人材育成に金をかけないし、労働者の方でも職場は自分の都合で選ぶものと割り切っていて、忠誠心のようなものはありません。このため中国企業はノウハウの蓄積がしにくいという欠点はありますが、反面自由に職場を選ぶことができ、日本のようにブラック企業にしばられて、行き場のないまま過労自殺するまで追い詰められるということはほぼありません。

生命を大事にし、自殺を軽蔑する文化を持つ中国人にとって、日本人がブラック企業でこき使われた末に自殺するという現象は、全く理解できないのです。