Limaoの中国裏事情ブログ

早稲田大学卒業、東洋大学大学院中退、2015年中国は湖北省の武漢大学に語学留学、2016年現地企業のサラリーマンを経て帰国。その後はフリーランスの日中翻訳者として東京を拠点にタイや台湾などでノマドワーカーしてます。 日本にいてはなかなか分からない中国大陸や台湾、香港などの実際のありさまをレポートします。中国語や台湾語の学習情報も更新していく予定。乞うご期待!

2020年の春節とコロナウィルスについて

明治時代にすべて太陽暦に切り替えた日本と違い、中国は伝統行事に関しては太陰暦を使用しており、正月も太陰暦で祝います。これを春節chun1jie2と言い、今年の春節は1月25日から始まりました。

中国では一般にみなが実家に帰って家族団欒して過ごすのが慣例であり、大晦日の春节联欢晚会chun1jie2lian3huan2wan2hui4という歌番組(日本の紅白に相当)を見たり、爆竹を鳴らしたり、花火を上げたり、みんなで餃子jiao3ziをたべたりします(ちなみに中国の餃子はほとんど水餃子です)。

普段実家から遠く離れた大都市で働く中国人が多いので、春節前は異常な交通渋滞が起こります。これを春运chun1yun4と言います。そのため、春節の1週間前から休暇に入る企業もあります。また、春節期間中はほとんど全ての商店が閉店するため、滞在中の日本人は買い物に困ることになりがちです。

ちなみに、私は現在(1月30日)台北にいてこの記事を書いていますが、台湾ではこの通りではなく、商店も開いているところが多いし、多くの人が買い物にでかけていますし、企業などは今日から仕事始めです。

さて、今年の春節は不幸にも新型のコロナウィルスの発生・流行と重なってしまいました。現在の時点で感染の拡大が懸念されていますが、武漢など湖北省の数カ所で事実上の封城(feng1cheng2都市封鎖)が行われています。

私は以前武漢に留学したこともあり、その時の友人も多くいるのでとても心配でもあり、今でも連絡ができる人に問い合わせてみましたが、現地は意外と落ち着いているようです。

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詳しく問い合わせた所、湖北省一帯ではみな感染を恐れて家に閉じこもっているものの、そもそも中国の旧正月では家で家族と過ごし、商店が店を閉め通りを歩く人が少ないのが普通であり、また空気汚染もあるので日頃からマスクをかけている人が多いので、普段とあまり変わらないのが実情のようです。

一般人の封鎖地区からの出入りは禁止されていますが、物流は正常に機能しており、街にはマスクをつけてスーパーに買い物に行く人もいくらか見られるそうです。

今回の件で日本の東京都から防護服などが中国に送れられた件で感動し日本に感謝する中国の人も多くいます。一方で、ヤフコメやtwitterでこの機に中国人を攻撃する一部のこころない書き込みも見られ、日本語の分かる留学生の中にはこの動きに憤慨する人もいます。実はヤフコメやtwitterなどのヘイトコメントは留学生を中心に中国のネットユーザーの間でも有名であり、差別的な書き込みは日本語が理解できる中国人留学生などにしっかりチェックされています。

なお、中国のネットでも今回のウィルス問題については流言飛語が飛んでおり、ネット監視の厳しい中Wechatを中心に怪情報が拡散しています。私の湖北省にいる友人がWechatで短い動画を送ってきたのですが、それは医療従事者を名乗る湖北省の訛りのある女性が政府の情報は全部ウソで実際にはもう10万人が死んでいるというものです。真偽の程は分かりませんが、この件についてネットでデマを流す行為は慎むべきであり、各国で対策をしつつ冷静に事態の推移を見守るべきでしょう。

現在中国政府は企業などに休み明けを延長させる措置を命じており、感染の拡大を恐れてなるべく自国民に家にいてもらいたい方針です。中国では今マスクの価格が高騰しており、日本にいる中国人の内目ざといものが薬局などでマスクを買い占めこの機に高値で転売する現象も起きているようです。今後ウィルスの感染が早期に収束し、日中の平和な往来が早期に回復することを切に祈ります。