Limaoの中国裏事情ブログ

早稲田大学卒業、東洋大学大学院中退、2015年中国は湖北省の武漢大学に語学留学、2016年現地企業のサラリーマンを経て帰国。その後はフリーランスの日中翻訳者として東京を拠点にタイや台湾などでノマドワーカーしてます。 日本にいてはなかなか分からない中国大陸や台湾、香港などの実際のありさまをレポートします。中国語や台湾語の学習情報も更新していく予定。乞うご期待!

中国のアニメ文化

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ビリビリ

 

日本ではオタク文化はまだまだ地位が低く、冴えない男性が見るものという偏見がありますが、中国では立派な外来文化であり、そういう偏見は一切なく、日本人がハリウッド映画を見る感覚で受け入れられています。もちろん中国にも死宅とか肥宅とかオタクをバカにする言葉はありますが、一般に中国語で宅(zhai3,動詞)というと「家に閉じこもって自分の好きなことをする」という肯定的な意味であり、(こう言っては非常に申し訳ないが)街が汚く、人々の素行が悪い中国では外出はとかく疲れるので、家でのんびりスマホをいじっている方が良いという文化があって、ビリビリ動画はそのような環境のもと企業・動画産業として大成長を遂げてきました。

 

なお、日本の男性向けアニメには性的描写が多いのですが、社会主義国である中国ではそういった描写は原則禁止ですので、ビリビリで配信されているものには白い光のようなボカシが入っています。これを中国人は「天朝圣光 tian1chao1sheng4guang1」(天朝の聖なる光)と呼んでいます。

 

また、政治的な配慮から日本では大人気の「進撃の巨人」など一部の作品も禁止されています(台湾地区版、香港マカオ版はあり)。

 

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ビリビリ

 

なお、中国の若い女性の間ではBLが大人気で、腐女(fu4nü3)と呼ばれており、これも当局の監視をかいくぐってかなり流行しているようです。中国のBL小説は露骨な描写を避ける必要から、抽象的な表現や身体部分の描写を避けるなどの工夫をしており、これを評して「首と首の恋愛」という冗談もあります。

 

また「汉化组 han4hua4zu3」という趣味のサークルのようなものが中国では広く存在し、日本語学習も兼ねて中国ではまだ公開されていない作品の中国語字幕の翻訳を協力して行っている若者たちもいます。

 

語学の才能に恵まれている中国の若者の中には、子供の頃からアニメを見ているためなんとはなしに日本語を身に着け、話すことはできないが聞いて理解することはできたりする者がおり、中には流暢な日本語をこなすツワモノまでいます(女性に多いようです。女性の方が言語能力に優れているのと関係がありそうです)。

 

一般に反日的だと思われている中国人ですが、アニメを通して日本に憧れを持ち、良い印象を持つ若者は年々増えています。アニメ文化が架け橋となって日中の友好が促進されればと願います。